研究者向けガイド · 6件の作業
研究のためのAI:論文を探し、速く読み、すべての主張を確認する
今やAIは、文献の検索、スクリーニング、要約を数分で行えます。難しいところは以前と変わりません。証拠が実際に何を示しているか、それがどれだけ強いか、そして各ステップを査読者に対して説明できるかを知ることです。以下のどの作業でも、確認できる記録が残ります。
01
キーワードではなく論文を起点に文献を探す
キーワード検索では、同じことを別の言葉で表している論文を見落とします。信頼できる論文をいくつか起点にして引用を前後両方向にたどり、何を採用するかを決めてから、リサーチエージェントにレビューの下書きを任せましょう。
例
リモートワークと生産性についてのレビュー。5本のシード論文から、引用をたどって40本の論文が見つかります。採用基準の表で研究デザインや対象集団を理由に22本を除外し、最初の下書きは残った18本を引用します。そのすべてをあなたが開いて確認します。
やり方
- 1Consensusには、はい・いいえで答えられる形で質問し、証拠の見解がどう分かれているかを見ます。
- 2シード論文を2〜5本選び、Citation Graphを開いて先行研究や後続の研究を探します。
- 3構造化された最初のレビューには、ConsensusのDeep ReviewかElicitのResearch Reportを実行し、どの論文が使われたかを読みます。
- 4引用するすべての論文を開き、拠り所にする一文を確認します。
組み込み機能
コピーできるプロンプト
私の問い:[問い]。採用:[対象集団、研究デザイン、年、言語]。除外:[基準]。 見つけた論文について、表にしてください:書誌情報、研究デザイン、サンプルサイズ、主な結果、各基準を満たすかどうか。全文を読めなかった論文は別に一覧にしてください。失敗しやすい点
- どのツールも独自のインデックスを検索します。あるツールで見つからない論文が、別のツールにはあるかもしれません。
- 要約では効果量や但し書きが平板になります。拠り所にする論文は、結果と限界の節を読みましょう。
02
数千件の要旨を、説明できるやり方でスクリーニングする
数千件の要旨を手でスクリーニングすると何週間もかかり、AIだけでスクリーニングすると査読者に説明しにくくなります。まず基準を書き、その基準でAIにスクリーニングさせ、サンプルでその判断を確認し、どう確認したかを報告しましょう。
例
運動とうつ病についての2,300件の要旨。AIのスクリーニングで、全文を読む論文は140件に絞られます。自分でもスクリーニングした無作為の100件では、ほとんどで判断が一致し、食い違ったものはすべて「不明」でした。そのすべてを読みます。
やり方
- 1採用基準と除外基準は検索の前に書き、その日付を残しておきます。
- 2ElicitでSystematic Reviewを選び、「Setup」ページに問いを入力してから、論文の収集とスクリーニングを行います。
- 3無作為に選んだ50〜100件の要旨を自分でスクリーニングし、自分の判断とAIの判断を比べます。
- 4論文の方法の節では、基準、ツール、サンプルの大きさ、判断の一致率を報告します。
組み込み機能
コピーできるプロンプト
以下の要旨を、次の基準でスクリーニングしてください。 採用:[対象集団、介入、研究デザイン、年]。除外:[基準]。 各要旨について:採用、除外、不明のいずれか、判断の決め手になった基準、その根拠となる要旨中の一文。要旨に書かれていない場合は、不明と答えてください。失敗しやすい点
- 結果を見た後に書いた基準は、見つかったものに合わせて曲がります。先に基準を固めましょう。
- 「不明」は正当な答えです。不明とされた要旨はすべて自分で読みましょう。
03
PDFの束に、見解が分かれる点を尋ねる
多くの論文にまたがる役に立つ質問は、違いについての質問です。どこで見解が分かれるか、どの手法が違うか、誰も測定していないものは何か。それを、すべての主張に引用とページを付けて尋ね、ソースが答えていないことも尋ねましょう。
例
10代の若者のスクリーンタイムと睡眠についての12本の論文。見解が分かれているのは、スクリーンタイム全体を測った研究と、午後9時以降のスクリーンタイムだけを測った研究があるからです。この違いを、双方からの引用とともに書いた段落こそ、あなたのレビューに欠けていたものです。
やり方
- 1PDFをGemini Notebookのノートブックに追加するか、1本ずつならSciSpaceのChat with PDFを使います。
- 2このページのプロンプトで比較の質問をします。
- 3使うすべての主張について、引用された箇所を開きます。
- 4Mind Mapを作って、全体のテーマを見渡し、欠けているものを見つけます。
組み込み機能
コピーできるプロンプト
これらのソース全体について:どこで見解が分かれているか、そしてその理由は何か(対象集団、手法、測定方法、年の違い)。 各点について、該当箇所を引用し、ソースとページを示してください。 そのうえで、これらのソースが答えていない問いを一覧にしてください。失敗しやすい点
- 2本の論文を混ぜた答えでは、ある論文の結果が別の論文のものとされることがあります。引用があれば、どれがどれかがわかります。
- 「ソースに記載なし」は役に立つ答えです。一度もそう言わないなら警戒しましょう。
04
インタビューを文字起こしし、AIを2人目のコーダーとして使う
AIは文字起こしもコードの提案も速くこなしますが、AIが作ったコードブックはデータにきれいに合いすぎます。まずサンプルを自分でコーディングし、それからAIにあなたのコードブックを適用させ、判断が食い違うところを見ましょう。
例
夜勤について看護師に行った20件のインタビュー。3件を手でコーディングして8つのコードからなるコードブックを作り、AIが残りの17件に適用します。両者がコーディングした1件のインタビューでは6か所で判断が食い違い、2つのコードが重なっていて、定義をもっと明確にする必要があるとわかります。
やり方
- 1倫理審査の承認と同意書でそのツールの利用が認められているか確認し、アップロードする前に名前を取り除いてください。
- 2文字起こしをしたら、引用するすべての箇所について、録音と照らし合わせて文字起こしを修正します。
- 32〜3件のインタビューを自分でコーディングし、コードブックを書きます。
- 4このページのプロンプトで、残りにAIがあなたのコードブックを適用し、1件のインタビューでAIのコーディングと自分のコーディングを比べます。
コピーできるプロンプト
以下のインタビューに、このコードブックを適用してください:[定義付きのコード]。 各箇所について:コード、1行の理由、行番号。 どのコードにも当てはまらない箇所と、2つのコードに当てはまる箇所は、別に一覧にしてください。新しいコードは作らないでください。失敗しやすい点
- 文字起こしでは言いよどみが抜け、名前や専門用語が聞き間違えられます。公開する引用はすべて確認しましょう。
- コードがあいまいだと、一致率は高く見えます。割合ではなく、食い違いを読みましょう。
05
再実行できる最初の分析を行う
再実行できない分析は逸話にすぎません。答えではなくコードを求め、結果を見る前に計画した分析を書き留めておきましょう。そうすれば、AIが何かが有意になるまで検定を続けることはありません。
例
事前に計画したのは、2つの教授法の間で試験の点数を比べるt検定。コードは412行のうち9行で点数が欠けていることを報告し、それから効果量と区間付きで検定結果を示します。AIが「性別でも確認しましょうか」と申し出たら、それは別の探索的な問いとして記録します。
やり方
- 1データを開く前に、問いと計画した分析を書き留めます。
- 2このページのプロンプトで、その分析だけを行うコードを求め、自分で実行します。
- 3各ステップの後に行数を確認します。
- 4各検定の前提条件を求め、結果を報告する前にそれを確認します。
コピーできるプロンプト
[ファイル]を読み込み、行数、列、欠損値、外れ値を報告してから、[問い]について[計画した分析]を実行する[RまたはPython]のコードを書いてください。 各ステップにコメントを付けてください。他の検定は実行しないでください。p値だけでなく、効果量とその信頼区間を報告してください。失敗しやすい点
- 「何か有意なものはある?」と尋ねれば、AIは何かを見つけます。計画を守りましょう。
- 動くコードが正しいコードとは限りません。結果を1つ、手で、または既知の例と照らし合わせて確認しましょう。
06
検索し直さずに新しい論文を追う
あなたが書いている間にも文献は増えていきます。毎月検索を繰り返す代わりに、あなたに代わって検索し、新しいものだけを報告してくれる週次のルーティンを設定しましょう。
例
「臨床文書における言語モデル、ランダム化試験または比較試験」のルーティン。たいていの週は新しい論文が数本報告されます。重要な1本を、その理由を1行添えて読書リストに加えます。
やり方
- 1ElicitでRoutinesを開き、何を追うかを採用基準の言葉で説明します。
- 2毎週のスケジュールを選びます。
- 3毎週レポートにざっと目を通し、関連する論文を、その理由を1行添えて読書リストに加えます。
- 4数か月ごとに、主な検索を自分でもう一度行います。ルーティンは新しい用語を使った論文を見落とすことがあります。
組み込み機能
コピーできるプロンプト
毎週、[基準]を満たす[テーマ]についての新しい論文を検索してください。前回の実行以降に発表された論文だけを報告してください:書誌情報、1文での結果、研究デザイン、サンプルサイズ。失敗しやすい点
- ルーティンはあなたの盲点も繰り返します。ときどき言い回しを変えましょう。
- 誰も読まない週次のリストはノイズです。5分で読める短さに保ちましょう。
研究者のためのルール
- 参加者のデータをアップロードする前に、倫理審査の承認とデータに関する契約でそのツールの利用が認められているか確認してください。
- チャットが初期設定で学習に使われるツールでは、未発表の研究をアップロードする前に、その設定をオフにしましょう。
- 引用するのは自分で読んだ論文であって、AIによるその要約ではありません。
- ジャーナルや助成機関が求める場合は、AIをどう使ったかを報告しましょう。
さらに詳しく
- AIの答えを確認する方法 レッスン、約8分
- 資料を勉強のノートにする レッスン、約8分
- AIで調べて引用を確認する レッスン、約8分
- AI capabilities and limitations Anthropic (Claude Academy)
- LLM Course Hugging Face